こんにちは。大宮ハビリス接骨院の大野太郎です。
本日のハビリス診察室はシンスプリントについてです。
患者様の説明補足用ですが、スポーツによるスネの痛みが長引いている方、予防したい方は参考にしてみてください。
目次
1.シンスプリントとは
- ランニング・ジャンプなどスポーツをする人の下腿に発生する慢性的な痛みを総称してシンスプリントと呼びます。
- 正確な定義としては、脛骨(弁慶の泣き所)の下の部分が筋肉に繰り返し引っ張られることにより、骨膜炎を起こします。
- 原因としては使い過ぎが主ですが、その他二次的な要因が考えられます(後述)。
- 走行後のみ痛む軽症例から歩行程度でも痛む重症例など、痛みの程度は様々です。
- 運動時に痛む場所(うちくるぶしの少し上の部分)を手で押してみてください。かなり痛む場合はシンスプリントでほぼ間違いありません。
2.シンスプリントの原因
脛骨内側に付着する後脛骨筋・長趾屈筋・ヒラメ筋などのけん引力が原因のいわゆる「使い過ぎ症候群」の一つですが、走る量だけではなく二次的要因が絡んでいる場合が多く、とても重要となります。
《内的要因》
1.筋・腱のかたさ
- 体質的に筋肉が硬い場合、筋肉が付着部を引っ張ってしまいます。
- 成長期など長管骨の爆発的成長に対して筋腱の伸長が追い付かず、相対的に硬い状態になります。
2.足の形
- 扁平足:アーチ(土踏まず)が足りないと、地面に着いたときの衝撃が和らげられずに筋・腱付着部である骨膜に伝わってしまいます。
- 回内足:オーバープロネーションとも言います。上の図を例にすると右足が回内足の状態です。足首に角度がついて、後脛骨筋・長趾屈筋の緊張を更に増やしてしまいます。回内足はシンスプリント以外にも様々な障害を引き起こしますが、これについてはまた改めてご紹介します。
《外的要因》
1.硬い路面・床面での運動
アスファルトでのランニングや、板張りのスタジオなどでのエアロビやダンスなどは骨膜への負担が増えます。バスケなどの競技も同様です。
ちなみに器械体操の床競技で使われるパネルはタンブリングといって、跳ねやすく衝撃を吸収する構造になっていています。あの床が演技のための器械なので激しい跳躍でもシンスプリントになりにくいのです。
2.シューズ
競技のレベルが上がると、シューズも変わります。陸上競技ならソールは薄く硬くなります。サッカーでもゴム底のトレシューからスパイクに変わります。
筋力をダイレクトに地面に伝えパフォーマンスを上げますが、体にかかる負担は当然増えます。
3.環境・トレーニングの変化
小学から中学、中学から高校・・当然競技のレベルが上がります。また、競技や種目を変更した際にも足にかかる負担が増えることがあります。
陸上トラックはある程度クッション性があるため、足への負担は軽減されますがバウンディングなどの練習はそのクッション性を帳消しにするくらいの負荷がかかりますので注意が必要です。
3.シンスプリントが治りにくい理由
シンスプリントは切り傷などと違って直接目で見ることはできません。そして普通は足をついて痛くなければ運動を再開します。その時まだ炎症が残っていると運動により炎症が増悪し、痛みが再発します。
また炎症がほぼ完全に治まり、運動していても大丈夫だったのにまた再発してしまうこともあります。この場合は原因となる筋肉の硬さや、その他の要因が取り除けていない事があります。
4.シンスプリントの治し方
シンスプリントは骨折などと違い本人の強い意志・チームの都合などで競技を継続してしまう事が多くあります。
競技のレベルやスケジュールなどによっては競技と治療を平行させる場合もありますが、痛みが長引くのでのシンスプリント及び骨膜炎に対する理解が必要となります。
軽症のうちに治療を開始しないと慢性化する事が多いので注意が必要です。
1.安静または運動の見直し
基本安静が一番早く復帰できますが、運動を続けるのであれば
- パフォーマンスを多少犠牲にしても適度にクッション性のあるシューズに変更します。
- ジャンプをしてのスクワットやランジ、バウンディングのような運動は避けます。
- 部活やチーム内に同じ症状の人が複数いる場合、練習量が多すぎである可能性がありますので練習内容の見直しも必要です。
2.消炎鎮痛処置
運動を継続している場合、運動直後はアイシング(痛みによる筋緊張を防ぎます)。そのあとはすぐ温めてマッサージを行います(冷し続けないのがポイントになります)
さらに湿布などの外用薬で炎症を取り除きます(湿布は冷すために貼るのではありません。わからない方はコチラもご覧ください)
当院では超音波・高濃度炭酸泉・複合電気治療機器なども用います。
3.ストレッチ、筋力強化
押した痛みもほとんどなくなり骨膜炎が改善されたら、再発を防ぐためのストレッチや筋力強化訓練を行います。
当院ではトランポリンなども用います。
4.足底板、ヒールカップ、テーピング
回内足、アーチ低下(偏平足)などが著しい場合は、足底版やヒールカップを用います。
それほどでもない場合はテーピングなどで補正しながら復帰後の様子を見ます。
まとめ
シンスプリントは完治を待てずに運動復帰→再発というサイクルを繰り返しやすい傾向があります。お正月などのまとまった休みはこのサイクルを断ち切るチャンスです。積極的に安静にしましょう。
今は痛くないという人もラン・ジャンプ系の競技をしている場合、筋肉が固くなりやすい冬はシンスプリントになりやすい条件が整います。予防のためにも運動前後のケアをしっかり行いましょう!
ブログトップ
電話での問い合わせにもお答えします。『ブログを見た』と伝えてください。