こんにちは。ハビリス接骨院の大野です。生涯罹患率80%と言われる腰痛の原因は
- 筋肉
- 関節
- 椎間板
- 神経
- その他たくさん
病院で椎間板を診る際は、椎間板ヘルニアの有無が診断の中心になります。しかし、ヘルニアがなくても椎間板は腰痛を引き起こします。
今回は、内部に痛覚を持たない椎間板が劣化した時に、どうやって痛みを引き起こすのか説明したいと思います。
目次
《ヘルニア以外でも椎間板が腰痛の原因になる(椎間板症)》
- 洗顔で前かがみになった。
- クシャミをした。
- 立ったままくつ下を履こうとした。
- 軽い段ボールを持ち上げた。
- 布団から起き上がった。
上はいわゆる「ぎっくり腰」で来院された患者様から問診で聴いた原因です。
他で治療を受け、「筋肉が原因」という説明を受けた方もいます。
ささいなキッカケで筋肉に傷がつくことはありますが、動けなくなるほどのダメージを筋肉に与える原因としては不自然な気もします。
筋肉が原因の急性腰痛を「筋・筋膜性腰痛症(きん・きんまくせいようつうしょう)」といいます。
筋・筋膜性腰痛症の診断基準は、「痛みを訴える部分に筋肉の硬くなった部分(硬結)を触れ、その部分に鋭敏な押して痛む箇所がある」としています。
しかし実際は、筋肉を押した際に多少痛みは確認できても、動いた時の激痛と一致しない事が多いのです。(骨折や肉離れなどの損傷では、そんな事はありません)
本当は、知らず知らずのうちに椎間板の劣化によりダメージが蓄積し、 ささいな外力が引き金になり、劣化した椎間板から内容物が染み出し、周囲の神経を刺激しているケースがかなり多いと思います。
私はこの現象を「椎間板のおもらし」と勝手に呼んでいます。ヘルニアには至ってないが、椎間板から髄核の液が染み出した状態です。
椎間板の劣化については、下の記事を参考にしてください。
〈まず身近な痛みのしくみを説明します〉
針が指に刺さった時に激痛を感じるしくみ。
針が神経に刺さって痛いと思っている方が多いのですが、違います。
①針が指に刺さると、細胞や血管に傷がつく。
②傷ついた場所から液がもれる。
③もれた液が近くの神経を刺激する。
④その刺激が脳に伝わり痛みを感じる。
これが基本的な組織が傷ついた時の痛みの仕組です。
専門用語では「侵害受容性疼痛」と言います。
〈腰でも同じことが起こります〉
冒頭でも言ったとおり椎間板の中には痛みを感じる神経がありません。しかし椎間板の周りには痛みを感じる神経があります。そうすると・・
①椎間板が劣化する。
②劣化した椎間板がつぶされ損傷を受ける。この時点まで痛みは感じません。
③損傷を受けた傷から椎間板の液がもれる。
④椎間板の液が周囲の神経を刺激した時、初めて痛みを感じる。
《痛みの原因が筋肉か椎間板か自分で確かめる方法》
単に前かがみで痛む場合、筋肉、椎間板のどちらの原因も考えられます。
椎間板が原因なら、痛めた椎間板をつぶす 前屈姿勢で痛みます。
筋肉が原因なら、痛めた筋肉に力が入る前屈動作で痛みます。
筋肉にストレスがかからない状態で前屈し痛みがでるかどうか確認します。
(ちなみに背骨の関節は後ろに反らすと負担がかかります。)
①筋肉にストレスをかけずに前屈する方法
上の姿勢は膝に手をついて、前屈している図です。
手で体重を支えているため、この動作では筋肉には力を入れないで済みます。
一方、椎間板をつぶす姿勢であるため、椎間板内圧はあがります。
この方法で痛みが出る場合は、傷ついた椎間板によって腰部に炎症を起こしている可能性が高いです。
逆にこの方法で痛みがでない場合は、椎間板のダメージはそれほど心配しなくていいかもしれません。以下の方法で筋肉の痛みが出ないか確認します。
②筋肉にストレスをかける方法
上の姿勢は座位で「前ならえ」をしたまま、前屈している図です。
上半身の支えがなく、前方に倒れこまないよう腰の筋肉が強く収縮します。
激痛の原因が筋肉なら、この動作は相当辛いはずです。
《まとめ》
椎間板ヘルニアがなくても、椎間板では侵害受容性疼痛が起こります。
原因は椎間板内部の繊維の傷で、回復は非常に困難です。
でも、そんなに悲観する必要はありません。腰の悩みなどない人でも椎間板は変性しています。
しっかりお手入れをすれば外壁部分の傷はふさがり、痛みはなくなります。
当院の患者様でも椎間板由来の激痛から1~3日程度の治療で痛みが半分以上なくなる方がほとんどです。
そのあとの再発予防が大切です。
当院の治療は椎間板内圧を下げ、栄養を送り、椎間板を修復するのを手伝います。くり返しの腰の激痛・ぎっくり腰でお困りの方は是非ご相談ください。