こんにちは。大宮ハビリス接骨院の大野太郎です。前回のブログでは足首の骨、靭帯の仕組みについてご紹介しました。
今回が本題で、靭帯損傷それぞれの特徴について書きます。同じ外くるぶしの捻挫でも症状や治し方が違うのは以下のような理由です。
患者様説明補足用ですが、捻挫でお困りの方は参考にしてみてください。
目次
《靭帯損傷それぞれの特徴》
①前距腓靭帯損傷(ぜんきょひじんたいそんしょう)
- 腓骨(外くるぶしの骨)と距骨(きょこつ)をつないでいる靭帯の損傷です。
- 荷重はあまりかからないので足首の動きをしっかり制限していれば多少足を着いていても安静が保たれます。
- 外くるぶしの骨の靭帯付着部が引っ張られ剥離骨折を起こすことがあります。この場合治療期間も長くなります。
- 前脛腓靭帯の損傷を合併している場合があります。単独で軽度の
- 損傷であれば一番治りやすい捻挫です。
②前脛腓靭帯損傷(ぜんけいひじんたいそんしょう)
- うちくるぶしとそとくるぶしをつなぐ丈夫な靭帯を痛める。
- ここを痛めた場合はかなりの負荷がかかっており重症となるケースが多いです。テーピングもがっちり固定する必要があります。
- 荷重をかけると距骨が下から突き上げ、くるぶしの隙間を開けようとするので、痛みが強く治りを遅くしてしまいます。
- 両くるぶしの間隔を左右比較し、差がある場合は整復します。あまりにも不安定な場合手術になるケースもあります。
- 前距腓靭帯の損傷を合併していることがあります。
③二分靭帯損傷(にぶじんたいそんしょう)
- 足首より足の甲に近い部分で距骨と立方骨に加えその隣にある舟状骨の三つの骨をつないでいます。
- アーチを形成する部分なので荷重すると自動的に負荷がかかって痛い。アーチを固定する特殊な方法でテーピング固定します。
- 踵骨の剥離骨折を併発することがあります。剥離骨片がゴマ粒~米粒程の大きさなのでレントゲン検査でも正面、側面の画像だけだと見落とされがちです。
《受傷経過ごとの特徴と治し方》
①新鮮靭帯損傷(しんせんじんたいそんしょう)
- 受傷直後の状態です。
- 固定と安静にて適切な傷の回復が望めます。
- 損傷の程度により、固定期間や固定方法は変わります。
- 回復したかどうかは主に痛みで判断します。大事な点としては、動いた痛みではなく受傷した靭帯を押した痛みで判断します。
- 回復して靭帯の傷が固まると、周りの軟部組織を含めた関節全体も固まります。
- 固まってしまった関節をほぐす可動域訓練を行います。簡単な目安としては正座して重さをかけた際に痛みがない状態がゴールです。
受傷後の皮下出血について
- 大きな外力を受けた場合、靭帯や回りの組織が破断して皮下で出血します。
- 皮下出血のピークは当日よりも翌日の方が目立ちます。
- 損傷した靭帯周辺の腫れが引いてきた際に、かかとや足の指の付け根あたりに内出血が出てきてビックリすることがあります。これは受傷部位の出血が重力で低い場所に移動するためで、ケガではありません。但し、皮下出血をそのままにしておくと、神経がぴりぴりするような痛みが出てくるので早く散らしてあげることも大切です。
②陳旧性靭帯損傷(ちんきゅうせいじんたいそんしょう)
概念
受傷から日数が経過したまま放置したり、回復が不十分なまま治療をやめてしまい、痛みがでたり、捻挫を繰り返している状態です。
症状
- 普段は痛くないが、長時間の歩行で痛みや腫れが出てくる。
- 大したキッカケもなく、ガクっと足を捻ってしまう。
- くり返しストレスを受けた靭帯が弱くなったり、伸びてしまっている状態です。
- もう治らないと諦めがちですが、腫れが出るのは体がまだ治そうとしている証拠とも言えます。
- 運動や外出の際にテーピングや装具などで保護しながら、根気よく治療すると徐々に改善されます。
《まとめ》
- 同じ外くるぶしの捻挫でも受傷レベルと痛めた靭帯により固定方法も固定期間も異なる。
- 特に脛腓靭帯に押した痛みがある場合は長引きやすい。
- 受傷後、動き続けることで小さな傷が広がり損傷がひどくなって来院される方が多いです。足を着いた痛みだけではなく、必ず手で触った痛みを確かめてください。
- スポーツ中に受傷して湿布をはって冷していたという方もいますが、アイスパックや保冷剤、もしなければ流水で冷やしてください。
- 陳旧性になってしまうと、後々たいへんなのでしっかり治してください。