大宮ハビリス接骨院の大野太郎です。今回は腰についてです。
生涯罹患率が80%ともいわれる腰痛ですが、痛みの由来が筋肉、関節、神経など様々なので、当ブログでは腰痛に関しては、一元的な説明はさけてきました。
でも今回は全ての人に関係する椎間板の老化について説明します。
当院では、腰痛のない方に対しても「いかに椎間板を大切にしなければいけないか。」という話をよくします。
同じく腰痛の原因となる骨や筋肉は損傷しても血行による修復が望めますが、椎間板は血流もリンパ系もなく壊れる一方だからです。
そして劣化した椎間板はヘルニアだけではなく、脊柱管狭窄症、椎間関節症、腰椎すべり症など腰椎のいろんな疾患を引き起こします。
目次
椎間板の再生が望めるのは20歳まで。そこからは例外なく老化する。
この事実は意外と知られていません。
椎間板には血管が通っていませんが、10代までは椎体(骨)を通して栄養されるので、体が大きくなるにしたがって椎間板も成長します。
しかし、20歳を過ぎると、椎体と椎間板は栄養の連絡が閉じてしまいます。その後は一生同じ椎間板を使い続けなければなりません。
《椎間板とは?》
①椎間板を含む脊柱の構造
上下でつながったふたつの背骨を機能ユニットと呼びますが、ユニットは前方と後方に分けられます。
《ユニット前方》
椎体+椎間板=体重を支持する機能が主です。
椎間板は、背骨が壊れないようにショックを吸収しています。
《ユニット後方》
脊髄+椎弓=骨で神経の通路を守りながら、関節を作っています。
関節が動作する方向を決め、さらに椎間板がつぶれたり、伸びたりすることで、背骨は自由に動く事が出来ます。
②椎間板の構造。
中心に髄核(ずいかく)という液状の球体があり、その周りを線維輪(せんいりん)という丈夫なコラーゲンの膜が何重にも囲っています。10代までは終板(しゅうばん)を通して栄養されますが、それを過ぎると終板は丈夫な軟骨となり栄養が途絶えます。
③椎間板はポンプ作用で健康を保っている。
髄核の80%は水分です。圧力を受けた髄核はオイルダンパーのようにゆっくり水分を排出します。圧力が減少すると紙おむつのようにまた水分を吸収します。
こうして、まわりの繊維輪にも水分を循環させてみずみずしさを保っています。
④椎間板はだんだん干からびる。
年々、みずみずしさを保つ成分(プロテオグリカン)が減って、コラーゲン繊維の特徴である硬さが目立ってきます。
プロテオグリカンが減少すると髄核の吸水能力も低下し、髄核そのものの圧力が低下します。
椎間板の厚みは髄核によって保たれているので、髄核の圧力が減ると椎間板はつぶれていきます。
年を取ると身長が低くなる理由もコレです。
⑤椎間板は常にストレスにさらされている。
宇宙飛行士のスコット・ケリーさんは長い宇宙ステーションの滞在で身長が5㎝も伸びたそうです。骨が伸びるワケがないので23個ある椎間板や股関節、膝がそれぞれ少しづつ伸びると考えられます。
起きている間、椎間板は常に重力を受けています。しかもユニット後方を支持する関節や筋肉を使っていないと上半身の重さがモロに椎間板にかかります。
具体的にはみなさんが楽に感じる前かがみの座り方などです。前かがみで座った姿勢は、背筋を伸ばして立った姿勢と比較すると、椎間板に2倍近くの圧力がかかることが分かっています。
なんで圧力がかかっているのに楽に感じるのでしょうか?
⑥椎間板は痛みを感じない
椎間板には痛みを感じる神経がありません(正確には表面に少しだけある)
つぶれても痛くないのです。ダラーっと座って楽に感じるのは筋肉が楽だからです。実際は筋肉や関節が荷重を受けていない分、重さは椎間板にかかっています。
では、椎間板は痛みを感じないのに、なぜ腰痛の原因になるのでしょうか?
これについては下の記事にまとめました。参考にしてください。
椎間板由来の腰痛はヘルニアだけじゃない。椎間板がギックリ腰を起こすしくみ。
《椎間板変性によっておこる症状》
早い人だと20代後半から椎間板変性が由来の症状が出てきます。
腰背部の筋肉の緊張、円背、椎間板ヘルニア、腰椎椎間板症、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症・・・など様々です。
《まとめ》
椎間板だけが、腰痛の原因ではありません。
しかし、一部の運の悪い人だけが椎間板を痛めるのではなく、すべての人に椎間板変性という劣化が起こっています。
しかも壊れてしまうと修復が効きません。本当は、痛くなくても歯磨きのようにこまめにケアするのが理想です。
筋肉を緩め、腰椎を牽引する事で椎間板の健康を保つことができます。
40代以降は椎間板変性による障害が顕著に出始めます。腰の痛みでお困りの方はお気軽にご相談ください。
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